NCの日記

コミュ障人生、試行錯誤の日記です

『政治家の殺し方』

読みました。

政治家の殺し方

政治家の殺し方

平成14年から横浜市長を二期務めた著者は、任期中、既得権益にメスを入れた事で既存勢力から恨まれ、スキャンダルのでっち上げなどの様々な嫌がらせを受けたようです。それらによって信用を失墜させられた著者が、任期中に起こったでっち上げの経緯や真相、その実行部隊となったマスコミの姿、地方自治体の実態などの体験を書かれています。それらの体験から著者は『政治家を殺すのに刃物はいらない』という結論を得たようです。

この本を読んだのは偶然ですけど、ちょうど陰謀論について考えていたときだったので、なんか内容がタイムリーでした。
日本の地方自治体レベルでも十分陰謀と呼ぶに値する暗躍ってあるのだなぁ、と思ったのが第一の感想でした。
本文中でも述べられていますが、地元で力を持っている人を怒らせたのがスキャンダルでっち上げが始まる直接的なきっかけになったようです。
やはり人間の社会は建前だけで回っているわけではなく、必ず裏側があるというのがよくわかります。
「陰謀」と呼ぶと大げさで嘘くさく聞こえますけど、人間の剝き出しの感情に沿って行われる水面下の動きって感じでしょうか。
これを抜きにした意見は理屈としては間違っていなくとも実態から乖離してしまっているように感じます。
本文で嫌がらせの内容や経緯が具体的に書いてあるのが参考になります。

実際でっち上げられた記事の中で、特に悪質なもの3件について、著者は裁判を起こし、最初のでっち上げから3年後に全ての記事は事実無根であると証明されたようです。
ですが、相手の狙いとは『一時的にターゲットを貶めること』であって、『事実であるか、裁判で勝つか負けるかなど関係がない』らしいです。
自分は裁判の経験はありませんがとにかく時間がかかるという話を見かけます。
人のうわさも75日、でっち上げ記事がホットな話題となり、それが「でっち上げ」だと結論が出るまでに3年もかかっていたら、なんとなくでっち上げられた内容のイメージがつきまとうようになる気はします。
事実無根の証明が出る頃には、その話題や人物への興味は世の中から失われているのが常でしょうし。
インパクトの強い最初のでっち上げ内容に対して、数年後に「あれはウソでした」って証明されても関係者以外にとっては印象に残らないんじゃないでしょうか?

この裁判の時間差を利用した手口としてもう一つ別の本で読んだ事のある話があります。
痛くない注射針を作った世界一の職人、岡野雅行氏の著作に何度か登場しているエピソード。
岡野さんは「特許は必ず大企業と連名で取れ」と書かれています。
その理由は、個人で特許を取ってもすぐにマネされ、特許侵害と個人で裁判に訴えても判決が出るまでに数年はかかる。そして判決が出るまでのその数年の間に、特許を取ったその技術自体が時代遅れになり、裁判で争う価値がなくなる。結局個人の泣き寝入りで終わる。それに対して、大企業と連名で取ると周りの企業もうかつには手が出せなくなる。連名での特許によってようやく技術が守られる。
という話。

改めて、世の中を理解するには表と裏の両方の理解が必要だと感じます。
表の理解は正論や建前、法律などを学べばいいので話自体は単純ですね。
ですが裏の話は必ずしも証拠のある話ばかりではないのでしょうし、公に語られることの少ない話のケーススタディ中心になるのでしょうか?
本書は公に出回っている裏の話を学べる本として参考になるように思いました。

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