シェアハウス本。出版年が新しいので現状を知るには良いかと。
シェアハウスのタイプを住人の関係性(知り合い・初対面)とハウスのコンセプト(あり・なし)の4条件で分類されてます。こういう視点で考えるのもおもしろいですね。本文中には各条件に該当するハウスのケースをそれぞれ紹介されてます。
自分が今住んでる家は『知り合い×コンセプトなし』で、全然行ったこともないですけどギークハウスとかは『初対面×コンセプトあり』ってことになるでしょうか。
本文中で、シェアの魅力とは「コストパフォーマンス」と「人とのつながり」だと言われます。
シェアすることによって、生活に必要なものをなんでもかんでも自分一人で調達し、それを維持管理するコストを分散させることができる。
また、実際の費用はワンルーム用の部屋とあまり変わらないケースもあるが、一人暮らしの費用と同等もしくはプラスαによって、ワンルームとは比較にならない広々とした空間を使用することが出来る。これが「コスパ」。
もう一つの「人とのつながり」。同居人がいるので単純に話し相手が近くにいる。また、家財道具だけでなく「友人もシェア」という流れも多く、同居人の友人が遊びに来るといつの間にか仲良くなることにより、人とのつながりが次々に広がっていくという魅力がある。
昨今の経済状況により企業社会にも競争原理が導入され、社会人生活における人とのつながりの場であった「企業というムラ」が崩壊。
結果、従来よりも社会人は孤独になりがちであるが、地域のコミュニティも希薄になる傾向がある。さらに言えば、変化の激しい時代ゆえに、社会人にとってコミュニティは地縁に縛られたものでなくもう少し柔軟性があるものが望ましい。だからこそ、シェアというコミュニティは現在の社会人にとって魅力になりうる。
という内容でした。
自分の実感でいうと、コスパについてはまったく異論なしです。
自炊生活が楽しいのもキッチンが広々して調理道具も一式揃っているからという面は否めません。
ワンルーム時代の、一口コンロのオモチャみたいなキッチンで今の自炊メニューを再現するには倍の時間かかるかもしれません……。
人とのつながりについては、自分のコミュ障気質ゆえに、あまり実感はないですがたぶんその通りなんじゃないかとは思います。
自分も人との交流によって満足するハードルが世間一般より低いだけでそういう部分がナシではないですからね。他の人が10の交流で満足するところ、自分は3から4くらいで満足し、それを越えるとだるくなるって感じです。
本当に一生涯他人との交流抜きに生きていける人は少数派な気もします。
家族や地域コミュニティよりも柔軟で、それでいて職場の関係者より気楽にゆるくつながれるコミュニティになるなら、人との交流好きな人にとっては魅力的になるんじゃないでしょうか。
コミュ障にとってみると、人とのつながりが過度になるとかえって苦痛になるので、あまり人付き合いへのノリが熱血すぎる人達とのシェアはあまりオススメできませんかね……。
シェアのコスパとほどほどの交流がいいなってタイプは、知り合い同士でローカルなシェアハウスを立ち上げるか、もしくは「コミュ障コンセプト」で運営されてるハウスを探してみるといいかもしれないです。
だいたい自分が考えることは誰かも考えてますから、コミュ障用シェアハウスもどっかにはある気します。自分は知りませんが。
自分で立ち上げるっていうか、一緒に住めそうな知り合いと連名で家を借りようっていうアプローチは自分もよく考えます。
注意点は、不動産ってけっこう保守的というか、とにかくオーナーさんの顔色一つみたいなところがあるみたいだから、コミュ障なだけで働いてる人はいいけど、自分みたいに社会的ステータス皆無なタイプばっかり集まって不動産行っても断られるケースも多いだろうということ。
まあこれも小さくないハードルですが、日本の住宅事情は明らかに供給過剰に向かってるらしいです。
遊ばせておくくらいなら誰かに住んでほしいという潜在需要は多いし、これからも多くなっていくと思われますので、根気と交渉と条件次第では恐らく借りられるんじゃないかと自分は思います。
ただ、自分も他人様のことなんか言えた立場じゃないですけど、コミュ障はコミュ障ゆえに、人として信用できるかとか、家賃払えるかとかは注意した方がいい気はしてます。
シェアハウス立ち上げがゴールじゃなくて、そこからがスタートですよね。
そういうこと考えると、社会の底辺でくすぶってる人間に対し二の足を踏む人の気持ちもわからなくもない気がして、なんだかなぁという感じです