NCの日記

孤立気味に生きてきたおっさんの日記です

こういう人になりたい

昔、と言っても2〜3年くらい前、そのときも実家を出よう計画があって、もうほとんど勢いだけで家を探しに行ったことがあるんですね。

以前住んでいて便利だった街の中で、街中であるわりには比較的家賃相場がリーズナブルな一帯があったんです。ほんの少しの間だけだったけどそこに住んでいた時代があったので多少勝手はわかっててとりあえずそこで部屋を探そうとしてました。

世間知らずな自分がやったことなんでまあ計画なんていうのもおこがましいくらい無茶苦茶な行動でしたねw
普段はそんな無茶をやる度胸もない人間なんですが、その当時はもう家を出たい一心で頭に多少血も上っていたので、珍しく勢いだけで突っ走ったときでした。

以前住んでいた当時の家を借りた不動産屋がありまして、そこはわりと雰囲気もよかったんで迷わずそこに直行。おじさんが一人でやってるような古びた不動産屋とかじゃなくて○ーモとかアパ○ンショップとかの、あの系統ですねw



で、当時は懐事情も正直厳しく、やれなくはないけど仕事のアテもなく飛び出すのは正直ちょっときついくらいの状態だったわけです。

そんななんで相場よりも2〜3割くらい安い部屋を探してて(事故物件とかじゃないですよ?w)、対応してくれた若い社員さんに「とにかく家賃が安い部屋をっ!」って頼んだわけです。

社員さんはなんかちょっと考え込むような感じで資料をめくり、そして2〜3件分候補を出してくれました。そういうの見てると急に部屋を探してるって感じになって、「おお!やればできるじゃないかw」とか内心思ってましたねw

で、もちろん内観に行くって話になって、対応してくれたその若い社員さんの運転する営業車に乗ってそのまま内観へと出かけました。




自分はもう今日中にでも部屋決めて、急ピッチで引っ越しも済まそうと皮算用に励んでたんですが、しばらく走ったところで社員さんが、
「お客さん、なんか、家に対してなんかこだわりとかあるんです?」
と話しかけてきました。

自分は(……? だから家賃だって言ったじゃん)と思いつつも、
「ええ、まあ、とにかく家賃ですかね……」
みたいなことをゴニョゴニョと。

すると
「……んー。あんま、家賃だけで探されるの、よくないですよ?」
とおっしゃいます。

世間知らずな自分なので(……まさか幽霊が出るとか!?)とかビビりつつ事情を訊きました。ていうかリアルに
「あ、幽霊とか、出るんスかっ!?」
って訊きましたw 社員さんはちょっと苦笑いで、
「いや、幽霊は出ないですけどねw ……ん、まあ、やっぱオススメしないですよ」
とおっしゃいます。

なんとなく、半分は困った感じで、もう半分はちょっと心配してくれてるような感じで。

今にして思うと、当時の自分がよほど危なっかしくて、見てられないみたいなところがあったのかもと思いますね。その社員さんは車を運転しつつ、ぽつぽつと「家賃だけで家を探さない方がいい理由」を教えてくれました。




さすがにその当時聞いた話をまんまここでは書けないのでざっくりまとめると、要は「家賃が安いだけの家なんていくらでもある」とのこと。

「もういっくらでもありますよ?そういう家」とおっしゃっていました。そういう家ってもちろん怪談とかに出てくるような事故物件も含まれてるのでしょうが、自分が当時聞いたのは「住人同士のトラブルが異常に多い」とのこと。

家賃だけで家を探すとそういう「ちょっとヘンなアパート」に引っかかって、当然「個性的な住人」ばかりの環境に置かれるわけです。

個別アパートですから決して同じ部屋に同居するわけではないとはいえ、そういう住人と壁を隔てただけの同じ建物内にいるとまあいろいろあるそうです。で、精神を病んでいって、みんな1か月程度で逃げるように引っ越していく、とのことでした。

だから、「家賃だけで探されるのは止めた方がいいですよ?」とおっしゃってくれたのでした。





そこまで教えてもらって、その社員さんも
「正直、僕いまNGトークしてますよ?」
とおっしゃっていました。

こういう不動産の裏事情って聞いたら教えてくれるんですかと訊いてみたら
「いやぁ……、普通は教えてくれないんじゃないですかね?」
とのこと。

ちなみに自分があまりにこの話に食いついたので
「じゃあ、ちょっとそういうの見に行きましょうか」
と言って、「正直、ここはオススメしませんよ僕」とおっしゃるアパートに連れて行ってもらいました。

社員さんがそこまで言い切るぐらいだからどんなひどいアパートかと思いきや、すんごい普通のアパート……。
建物も大きくてキレイで、大通りにも近くて、中もごくごく普通、むしろそれなりに広くていい感じなんじゃないかと思うくらいのアパートでしたが、その社員さんが言うには「ここはトラブルが多い」とのこと。

こんなんわかるわけねーじゃんとゲンナリしたのを覚えてますw





その社員さんがなぜそういう話をしてくれたかというと、「お客さんが自分の紹介した部屋に決めたことを後悔して、逃げるように引っ越していかれるのを見るのが嫌だから」とおっしゃっていましたね。

それにまあもしかすると、さっきも書きましたが、自分があまりにも危なっかしく見えたのかもしれないですw
自分はほんと世間知らずですからね……。たぶんそういうオーラが出てたんだと思いますw

そういうリスクを承知で安い家を探してるようには見えなかったんでしょうね。


でもそんなん不動産側には関係ないじゃないですか。
多少の説明はして、内観にまで連れてって、聞かれたことには問題ない範囲で答えて、そこまでして買い物に失敗したとなれば、まあ買い手にまったく責任がないとまでは言えないんじゃないですかね。

事情がよくわかってなさそうだけど支払いに問題ない程度の金は持ってそうな奴がフラフラやってきたとしたら、不動産側にとってはまさにボーナスチャンス以外の何物でもないはずです。

こちらに裏事情をこっそり教えるメリットはあんまりなかったと思うんですが、それでも店舗を出て二人っきりになった途端、こういう裏事情を教えてくれたあの社員さんには正直とても感謝しているわけです。




自分に与えられた裁量の中で、できるだけ相手を食い物にしない行動を取るって感じで、ちょっとしたお手本にさせてもらってます。

自分もどうせならこういう社会人でいたいと思ってます。