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NCの日記

コミュ障人生、試行錯誤の日記です

『私の嫌いな10の言葉』

読書

私の嫌いな10の言葉
私の嫌いな10の言葉
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新潮社 (2013-05-24)
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哲学者、中島義道さんの著作。

ちょっと刺激的なタイトルですが、以前にも中島さんの著作を読んだことのある方なら「ああ〜w」とわかりますかね。いつも通りの中島節炸裂の一冊です。『人生を「半分」降りる』や『人生、しょせん気晴らし』など、他の著作からも漂う雰囲気通り、方向としては厭世的です。

本書は、いかにも日本人的な「善良な市民感覚」を袈裟切りにするものです。日本人ならほとんどの方が覚えがあるような「無意識的な同調行動」また「そのための同調圧力」なんかを、著者はたいへん毛嫌いしておられます。その感覚が如実に表れた10の言葉を取り上げ、その構造を解説し、糾弾しているって感じでしょうか。

ちなみに、その10の言葉は
・相手の気持ちを考えろよ
・ひとりで生きてるんじゃないからな
・おまえのためを思って言ってるんだぞ
・もっと素直になれよ
・一度頭を下げれば済むことじゃないか
・謝れよ
・弁解するな
・胸に手をあててよく考えてみろ
・みんなが厭な気分になるじゃないか
・自分の好きなことがかならず何かあるはずだ
が取り上げられています。


一見すると何の罪もない善良な一市民に見える方々も、これらの言葉を発するその心理や構造をよく確認していくと、若干の歪みがあるのがわかります。世間一般的に多数派に属する方であれば、この現状に特に疑問を持たないのかもしれませんが、世の中と少し感覚がずれている方になると、どうしてもその歪みが目について仕方がないと。自身の感覚も「マイノリティ」だとおっしゃる著者の魂の叫びのようなものを感じます。

一例を紹介しておくと、「一度頭を下げれば済むことじゃないか!」といって形だけでも謝罪することを要求したかと思えば、「謝れよ!(形だけ謝れば済むと思っているのか!?)」と心からの謝罪を執拗に求める。謝罪にもうわべだけのものと本心からのものとがあるのを十分に知り尽くしており、ある場面では「形だけでも謝れば済む」と猫なで声でなだめながら、ある場面では「形だけ謝ることの醜さ」を殊更に取り上げ、断罪する材料として使う。矛盾した二つの態度を手の平の上で転がし、状況によって「上手に使いこなす」ダブルスタンダード


このような「善良」で「オトナ」な一般大衆の歪みに気づいており、それにある種のうさんくささ、卑怯さを感じている方にとって、我が意を得たりと痛快な一冊になるんじゃないかと思います。日本人的なお付き合いがなんかだるいけど、そのだるさがどうだるいのかうまく言葉にできない方は一読してみるといいかもです。


―――――――――

常識的コースから外れ始め、コミュ障気味でもある自分にしてみると、この本は痛快の一言でしたねw 世間一般のマジョリティ感覚についていけない自分には非常に納得のいく話で「そうそうw」と頷きながら読んでしまいましたw

中島さんの著作を読むのはこれで何冊目かになるのですが、例の中島節には「わかりそうでわからん」というのが正直な感想でした。自分も相当「考えすぎ・気にしすぎ」な人種ですが、中島さんのそれには遠く及ばないと思います。だからこそ、中島さんの著作を読んで、初めて共感できたことにちょっとびっくりです。この本が特別に自分の感覚と合ったのか、それとも自分のマイノリティ度合が強くなってわかるようになったのか、どっちだろうなと思います。

元から人の輪に入れないことが多いのもあるとは思いますが、食の安全話を調べた経緯からも、もう自分は世間一般的な常識をまったく信用していません。だからこそ、社会秩序や常識を何が何でも死守しようとして、妙な同調圧力をかけてくる「善良な一般市民」達にはうさんくささを感じています。

本文内で取り上げられている10の言葉を始め、このような態度でマイノリティを締め上げている彼らは、そうやってマイノリティをゆるやかに追い詰めつつも、いざとなれば「自分は無力で善良な一市民だ」という逃げ道が用意されてます。まことにおかしな同調圧力をかけつつも、責任からは上手に逃れられるその在り方には恐れ入るの一言です。

そうはいっても、こういう部分は自分も持ち合わせているのよなぁと思ってまたゲンナリもします。程度の問題であって、まったく身に覚えがない方はほとんどいないのかもしれないです。自分もこの本を読んで、加害者側として反省した部分もありました。

世の中でマイノリティな人種が何を考えているのかを知る資料としても、中島さんの著作は参考になるかもですね。

私の嫌いな10の言葉

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