NCの日記

孤立気味に生きてきたおっさんの日記です

『春季限定いちごタルト事件』

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 40,400

青春小説になるんでしょうか?
一癖も二癖もある主人公達が「小市民」目指して奮闘(?)する日常系ミステリーって感じです。

薄めの文庫本一冊なのでラノベ感覚でサクッと読めちゃいます。


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米澤穂信さんと言えば、少し前にアニメ化された『氷菓』の作者として有名になったかもしれませんね。『氷菓』に始まる古典部シリーズの方も好きで、そっちも追いかけて読んでます。が、個人的にはこの『春季限定〜』で始まる小市民シリーズの方が好きな気もします。現在のところ、『秋季限定栗きんとん事件』が最新作となっていて、そこで止まってますね。最新作が出たら買ってでも読みたいなと思ってます。


この作品なんですが、テンポが軽やかで、日常系の話がポップに綴られている感じがたまらなく好きですw 別にこの作品に限った話じゃなく、なんてことない日常を軽やかに展開してくれる小説はわりと好きですね。そういう意味で、この作品は自分の好みドストライクでしたw

小説とか呼んでると、やっぱりこれもエンタメの性というか、劇的で暗い展開になることが多いんですよね(´・ω・`) ハッキリ言うと、だいたい誰かが死にますよねw それも殺された系の話が多い訳ですw 

まあエンタメなんだからしょうがないっちゃしょうがないのかもしれませんが、どうしてそこまで人を殺したがるんだろうというのはよく疑問に思います。恐らくはエンタメ性を持たせるためってことなんでしょうけどね。それが大衆にウケるからこそ、プロの作家さん達や出版関係者の方々はそういう作品を生産されているのでしょうね。その辺の事情はよく知りませんが。


自分はよく思うのですが、外で遊ばず、家で小説ばっかり読んでる人って何となくおとなしくて優しいようなイメージがあるかもしれませんが、実際はそうとは限りませんよ? 自分もそうだったからわかりますけど、家で人が次々殺されていくようなスプラッタな小説を興奮して読んでいるようなタイプが本当におとなしいって言っていいのかは微妙だと思います。

単に、その人の内面が分かりやすい形で外に出るか否かの違いがあるだけで、外に出ていないからイコールでその人にはそういう部分がないんだって思うのは違うようにも思うんですよね(^_^;)


人が劇的に死ぬ or 殺されるな展開が好きで好きでたまらないけど、そういう嗜好を満たしてくれる何かが現実世界にないとき、エンタメ小説は恰好のコンテンツになるのかもしれませんね。人が死なない作品って、探してみると意外なくらいないですから。ゲーム・アニメ・マンガなど視覚的に訴える力が強いコンテンツとかだとよくわかりますが、文字列しかないエンタメ小説というコンテンツにおいても、けっこう悲劇や暴力抜きには成り立たない作品が多いような気がしています。


別に自分も人が死ぬ作品が不愉快だとまで言うつもりはありませんが、個人的に日常系の話が題材になっている方が気楽に気分よく読めるので好きです。

何げない日常を瑞々しく、軽やかに描き出してくれるという意味で、この『春季限定〜』は好きですし、この作家さんも好きなわけです。日常系の話が好きだという読書好きの方はこの作家さんの本も要チェックだと思いますね。


春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)