作品に対する興味はもちろんのこと、その作者・制作サイドの意図、経緯、人生にも若干の興味があるので、今回は視点を変え、サザエさんの作者の人生が分かる物ないかなーと思い、探してみました。
で、図書館で見つけたこの1冊。
いい感じに読みやすいです。ほー、こんな方だったのか・・・と、簡単にわかります。
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サザエさんの連載開始は、終戦から8か月後の混乱期の最中だった・・・というエピソードからもわかる通り、人生の初期を戦争と共に過ごした世代の方なんですよね。
自分の祖父母よりもう少し上くらいの人みたいです。
福岡から東京に出て、疎開でまた福岡に戻り、終戦後にまた東京に戻るといった経緯があったようで、今より交通網も脆弱だった当時は大変だったろうなと。
この辺の話や、最初に出版したサザエさんは製本サイズの影響でまったく売れなかった話などは、わりと有名かもしれませんね。
この本を読んで思い出せましたが、町子さんご本人が書かれたマンガ入りエッセイでも、作者さんの人柄や人生を知ることができます。
- 作者: 長谷川町子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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昔読んだことありますが、これも面白いですよ。マンガ入りで読みやすいです。
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今回改めて気づきましたが、町子さんもけっこう会社勤めとか無理なタイプだったのかなと。
いくつかそういう部分を引用してみます。
会社勤めをしたことがない町子にとって新聞社は苦手な場所だったようで、夕方四時になると嬉々として家族が待つうちに戻りました。あまりに嬉しそうに帰っていく町子の姿を見て、同僚たちは「さては恋人ができたに違いない」と噂したそうですが、町子を待っていたのはイケメンの恋人ではなく、家庭菜園でした
そんな戦争もようやく終わりました。
その翌日、町子は西日本新聞社を辞めました。戦争が終われば、もはや無職の独身女性でも徴用に駆り出される心配はありません。会社勤めが嫌で嫌で仕方なかった町子は喜び勇んで辞表を出したのです。
町子は内弁慶で人見知り。決して社交的な人ではありませんでした。
何しろ「サザエさん」を二十年間以上連載していた朝日新聞社には数えるほど、週刊誌に「いじわるばあさん」を五年間連載していた毎日新聞社にはたった一度しか顔を出したことがありません。
コミュ障として、「わかるわー・・・」としみじみしてしまうw
こういう一面を知ると、いつも時代も人の悩みや苦しみ、行動パターンは一緒だなーとちょっと安心する感じですね。
会社勤めとか人間関係とかムリだけど、自分の才能を活かして活躍した方の話を見ると、ちょっと勇気づけられますね。
長谷川町子さんが亡くなったのは1992年。
ほのぼのした絵柄のサザエさんからは色濃く感じないものの、作者の町子さん自身は戦争も経験し、戦後の混乱から復興までの激動の時代をモロに生きた世代ですね。
死後、国民栄誉賞が贈られたそうです。
その年、自分はとっくに生まれた後で、まあまあの歳になっていたはずですが、さっぱり覚えがなかったですw サザエさんの作者の死を理解するにはまだ幼かったか。
自分の強みを活かして生き、最後は国民栄誉賞まで受賞したというのは、一個の理想パターンだなーと感じます。
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自分はノンフィクションの歴史モノが好きなので、普通に楽しめました。
自分の中で「偉業を達成した(自分から見て)過去の人」は、歴史の教科書に出てくる「織田信長」や「徳川家康」とすでに同じニュアンスで感じています。
が、自分でも共感できる日常レベルのエピソードを見ると、その方が急に「昨日まで隣に住んでた人」くらいに感じられるようになります。
その感覚が面白いと思ってます。
偉業を達成した人でも、自分と似たような悩みを持ってたり、似たような日常を送ってたりもしたんだなぁと知ると、なんか自分も頑張ろうという気になれるのです。
合わせて、長谷川町子の母・貞子は「サムライの娘」という言葉からもわかる通り、時代劇にしか出てこない「江戸時代」って意外と離れてないのなーというのも感じます。
自分の祖父母の祖父母くらいになると、「坂本竜馬」や「新選組」と同じ時代を生きた世代になると言われると、ロマンを感じずにいられない。
そしていかに日本という国が急激に変わっていったのかということも、ほんのりと実感します。
ちなみに町子の父も母も鹿児島出身。
町子さんの生まれは佐賀らしいので、長谷川一家は九州に縁のある一家みたいです。
その人のルーツがわかるのもなんかおもしろいなと思います。
町子さんの妹による町子伝もあるみたいです。
- 作者: 長谷川洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/10
- メディア: 文庫
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これもちょっと読んでみたいですね。
ちなみに、町子さんは一度胃がんになっているようなんですが、本人にはその事実が伏せられていたようで、ご本人の書かれたエッセイにも「胃がん」という言葉は出てこないと、今回読んだ本には書かれていました。
これもちょっと気になる話です。
本当だとしたら、本人すらも真実を知らなかったということで、長い人生いろいろあるんだなと感じますw
ときに本人すらも、自分に関する真実を知らないことって、あるのかもしれませんね。