今月、U-NEXTをちょっと契約しまして、映画をわりと見たのであれこれと感想です。
ネタばれとかはあまり気にせずに書くので、気にされる方はご注意を。
目次
U-NEXTで見た作品の感想
●ノマドランド
バンで寝泊まりする老女が非正規職で稼ぎを得つつ、アメリカ各地を転々とするロードムービー。淡々とした静かな映画で、シーンの切り替わりもサクサク進み、主人公が次の場所へ移動したことがふっとわかる点は小気味良いです。車中生活のトイレ事情とか、生々しい描写があってけっこうリアル。
主人公はどこの職場でもうまいことなじんでるし、コミュ力も高くて友人も多い。バンで寝泊まりしているのは本人の趣味嗜好でもあり、家に縛られずに自由に生きるという、どこか憧れを抱く姿をまさに体現していて。
これ、主人公が若者だったら「大陸を自由気ままに渡り歩く青春ロードムービー」だったと思うんですよ。主人公が老人になるだけで、全編を通してどこか漂い続けるもの悲しさは何なのかと。
そうみるのが正しいのか、もの悲しいと思うのは自分の偏見なのか、考えさせられるところもありました。
あと、自分も一時期ノマドワーク的なことをやっていた時期があって、当時、キャンピングカー買って各地を転々としながら生きようかなって本気で考えてたことがあったので、「ああそうそう、こういう生き方憧れてたんだよな」と思えて、なんか懐かしくもありました。
●ザッツ・エンタテイメント
往年のMGM名作ミュージカルの名場面を、当時の大スターたちのプレゼンを挟みつつ紹介する、ミュージカル好きにはたまらない作品。
フレッド・アステア、ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュディ・ガーランドなどなど、取り挙げられるスターは錚々たる面々。
古典ミュージカル好きなんだけど、知らない作品やスターのほうがずっと多くて、ワイもまだまだやなと。
そして当時のスターたちのプレゼンはMGMの建物や野外セットで行われたわけだけど、「ザッツ・エンタテイメント」の製作当時、MGMはすでにだいぶ凋落していて。
全盛期に製作された映画が華やかなだけに、現在(この映画の製作当時)のMGMの寂れっぷりが余計に目立って、兵どもが夢の跡すぎるだろと。
どっかで見た「夢とはすべからず覚めるものだ」という言葉も、なんかふっと頭に浮かぶ感じだった。
●犬王
室町時代に実在したとされる能楽師・犬王をポップスターに見立てた室町絵巻。時代を先取りしまくる琵琶法師と能楽師の青春音楽作品っぽくもあった。バックボーンにあるのは平家物語。
『夜は短し歩けよ乙女』の湯浅政明監督の最新作?になるのかな。自分は『夜は短し~』を見て以来、湯浅監督のフォロワーなんですよね。監督はいつも夢を見せてくれる・・・(恍惚)
歌と踊りで平家の物語を伝えるたびに人としての姿を取り戻していくという犬王のギミックや、犬王を演じたアヴちゃんの演技力や歌唱力とか、ほんと見所の多い作品だった。それでも尺は90分と長すぎないのも好印象。
犬王の演目(ほぼライブパート)は3つあり、どれも甲乙つけがたいけど、個人的には「腕塚」が好きだったかも。今風の曲調に平家の物語を伝える古風な言葉が乗るのは、何とも不思議な体験で心地よくもありましたね。
主演のアヴちゃんって平家の末裔ギャルらしいんですよね。
女王蜂アヴちゃん、犬王の命日に“平家ギャル”だったことが判明「運命を感じる」(舞台挨拶レポート / 写真16枚) - 音楽ナタリー
犬王演じるのにアヴちゃん以上の適任者いる??ってところもおもしろかったです
●ドライブ・マイ・カー
心に傷を抱えた男の再生の物語。海外でも高評価とのことで話題になってましたね。原作が村上春樹なだけに、淡々と静かに話が進むところが個人的にはとても良かったです。
主人公は舞台役者で、作中では劇中劇が行われます。この映画のキャストは、『ドライブ・マイ・カー』のキャラとしての演技と、そのキャラが作中劇を演じてる演技をうまく演じ分ける必要があって、キャストには演技力が要求されるところかなと。
この二重構造は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも見られるもので、やっぱ役者ってすげぇと思わされるところ。
あと、劇中劇を演じる役者キャラは多国籍で、手話の方もおり、あー、こういうノー・ボーダーみたいなのって海外さん好きそうっすよねーみたいなのもちょっと思いました。偏見だけど。
物語の後半で事件が起き、「落ち着いて考える場所が欲しい」という主人公に、無言で主人公の愛車を指し示すドライバー。
そうそう、ドライブ中の車のなかってなんか妙に落ち着くし、普段話す機会のない話もなんかしやすいんだよなと思って、落ち着いて考えられる場所ってオーダーへの車(ドライブ)って回答の納得感がすごかった。
映画の尺は3時間。このボリューム、マーティン・スコセッシを思い出すぜ!!って感じ。
●バグジー
ラスベガスを作った男といわれる実在のマフィアの半生を描いた映画。見たい映画メモになんかメモってたので視聴。
ラスベガスを作ったというからには相当なサクセスストーリーなのかと思いきや、実際にはラスベガスが生まれるきっかけを作った男って感じで、本人は事業に失敗して最後に非業の死を遂げる感じです。
自宅で後ろから狙撃されるラストシーンは、モデルになった人物の死に様と同じなのだとか。知らんけど。
主演はウォーレン・ベイティ。彼には『ディック・トレイシー』のイメージがあって、別の作品に出ている姿を見るのは本作が初でした。キャラの方向性が真逆で、俳優のイメージがひっくり返る感じが面白かったです。
主人公はキレると手が付けられなくなるタチで、慎重に近づくように言われていた、ファミリーの新たな進出先のボスにもある事件をきっかけにキレ散らかして、最後は相手を精神的に屈服させてしまうシーンは圧巻。俳優の演技力にも圧倒される。
主人公は感情が爆発すると自分でも抑えられなくなるタチではあるんだろうけど、そうやって勢いに任せてキレ散らかしてると相手が折れるって成功体験もたぶん積み重ねていて、意識的にやってるところもあるんだろうなと思わせるキャラでした。こういうやつ、たまにいるよね感。
おまけ1 使えるものは使えるときに使っといたほうがいいよねと
今回U-NEXT契約したの、今のPC買ったときに優待利用サービスが特典でついてたからなんですよね。
今のマシン買ったの5年くらい前で、部屋の掃除してたら優待サービスのチケットがぽろっと出てきて、ああそういえばあったなと。
最近ちょっとマシンの調子が悪いことあって、そろそろ買い替え時かなと思ってたから、もう使えるときに使っとこうと。
5年越しくらいの利用だったわけで、使用期限なくてよかった・・・。もっと早く使っとくべきだった。
ポイントサービスとかも、使えるタイミングになったら即使うのが合理的らしいですね。うかうかしてるとポイント失効するし、ポイントサービス自体が改変・廃止されることもよくあるので。
とりあえずマシンに紐付きの特典だったんで、今のPCが壊れる前に使えてひとまず良かったです。
おまけ2 ガンダム水星の魔女の感想
先クールに放送してた作品。今回のU-NEXTの利用とは無関係ですが、ほかに感想書く場がなかったのでついでに。そんなに真剣には見てないので、事実関係が所々違うかもですが。
話題になった1クール目のラストシーン、話題になりすぎて期待値上がり過ぎてたのか、自分としてはそんなに衝撃受けなかったんですよね。
っていうのも、TL上で「血染めのユフィ」とまで言われてたので、ああこりゃあ身近な相手、おそらく地球寮の誰か(たぶんミカ姉)かミオリネパパ、大穴でグエルをスレッタがやっちゃったんだなと思っていて。
相手がミオリネを襲おうとしているのを見て(もしくはスレッタがそう思い込んで)、相手が自分のよく知る親しい相手、またはその相手がミオリネの大事な人だと知っていて、それでもミオリネのために迷わず潰してミオリネ絶句みたいなシーンなんだと思っていて。
でも蓋を開けてみたら、いや、相手モブのテロリストやんけと。本気でお前ら親子殺しに来てたやんけと。
え、この状況であのリアクションだったんか・・・??みたいなのがわりと正直な感想でした。
まあ、確かにスレッタもミオリネも一応は普通の学生で、スレッタもついさっきママの行動にビビり散らしかしてたわけで、まあ普通っちゃ普通の反応なんですよね。
でもミオリネってグループ総帥の令嬢で、同グループの有力派閥の子息にあたるシャディクやグエルを見ると、ちょっと反応が普通すぎない??って気もして。
考えてみれば、ミオリネって確かにスペックは高いし、家の後盾もあってすごそうなオーラあるけど、これまで主にやってたのは家出の画策と失敗だったわけで、らしい活躍ってそんなにないんですよね。
1話では体張って自分で決闘に出ようとしてたけど、勝ち目があったとは思えないやけくそな行動だったし、他人様のMS勝手に使う非常識ムーブはかますし。
普段それなりにリードできてる相手は、世間知らずのスレッタとか、学園内ではアウェーな立場にいる地球人たちとかで、そりゃこの相手ならあれこれ仕切れるだろうよ感。
株式会社ガンダムに関わって、ミオリネも有力者の娘らしい活躍をようやく見せ始めてたところで、現状ではわりと普通の子って感じなのかなと。
スレッタママに痛いところつかれて精神面をぼこられたり、パッパの信用借りないと投資1円も集められなかったりしたところも、そんな感じ。
その本人の属性が完全に露呈したのが、12話のラストシーンだったと個人的には思った感じでしたかね。普段どんだけ威勢いいこと言ってても、非常時に放り込まれると、自分を助けてくれた味方にすら恐怖を覚えるという。
自分が普段通ってる学園にはパイロット科とかあって、MS使った決闘とかも日常的に目にしてるわけで、学生とはいえ軍需産業に間接的に関わっていて、しかも生まれがグループ総帥の娘とまでくると、ラストシーンの反応は拍子抜けするくらい普通だなと。
親父との対比は面白くて、同じ非常時にあっても親父はノーマルスーツ着て粛々と避難してて、肝の据わり方や踏んできた場数の違いを感じさせる。
ミオリネは地球に行くと吠えてたけど、行けなくて逆によかったんじゃないかと思ってしまうほど、ミオリネって現状では年相応の普通の子って感じだったんだなと。
普通の少年少女を戦場に放り込むのはガンダムの伝統芸でもあるらしいので、ミオリネのキャラ造形はガンダムらしい舞台装置なのかもなとも思いました。