NCの日記

孤立気味に生きてきたおっさんの日記です

コミュ障の正体

こんな本を読みました。


中身はほぼマンガです。
ある一人の少年の小学生〜大学生までのアスペルガー的エピソードがマンガで綴られ、章の終わりに見開き1ページ分の簡単な解説。

あとがきによれば、これはある一人のアスペルガーの男性のエピソードを軸に、他何人かの方のエピソードを足して作ったストーリーらしく、つまり部分部分は実話ということなのでしょう。

マンガなのでアスペルガー症候群のキャラクターが非常によくわかります。



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この本、自分は血反吐を吐きながら読みました
若干、4割くらい身に覚えがあったからです。とくに作中主人公「辰典くん」が大学生になったあたりから。

辰典くんの物の感じ方とか、「僕は正しい!」とか思ってイライラしてたり、そういう部分。なんかもう、ね。

まんま自分というわけではないにせよ、これまでの自分の軌跡にニアミスしているような内容に、一ページめくるごとに「アッフゥン……」みたいに膝から崩れ落ちてました。



正直言って、自分はかなり気難しい性格をしてると思います。
いろんなものをこじらせてるし、これ以上ないくらいグネグネに性格ねじ曲がってると思います。

それでいて、自分はもうどうしようもないくらいビビりで臆病でチキンで、ほんとどうしようもないんですけど、だからこそ自分は何とか表面上は警察のお世話になったことはないし、病院に収容されたことはないし、生涯のトラウマになるようないじめに遭ったこともありません。

たぶんだけど、自分がこんなビビりで臆病じゃなかったら、それこそ「辰典くん」みたいな苦難の日々を過ごすことになったかもな…と思いました。


臆病でビビりだからこそ表面上は「おとなしい」みたいな感じで、小さい頃はいい子い子で扱われ、大きくなってからは「地味で暗い」みたいな感じで逆に放っといてもらえたのかなと。

でもおとなしい人間が中身まで大人しいとは限らんのですよ。

頭の中ではかなりヒドイことを考えてる事もままあるし、それは本書の辰典くん(大学生以降)の物の見方・感じ方とけっこう被るところがあります。



これまでの人生で「もっと自分を出していこうよ!」みたいなことを言われたこともありましたが、今よりもっと対人スキルが低く、世の中のことを知らなかった当時の自分が「自分」を出したら、きっと袋叩きだっただろうなと思います。

どうしようもない小心者マインドは、自分の安全装置になってくれていたのだろうと。

そのおかげでこの歳になるまでなんとなく来れてしまったことは、よかったのか悪かったのか、逆によくわかりませんが。

こうして「本を読んでやんわり知れた」ということで、ソフトランディングできたということはよかったのかもしれません。


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この本を読んで、自分がこれまで「コミュ障」とふわっとまとめてきた問題は「アスペルガーだったのかも?」という具体的な方針に変わり、もう一冊読んでみました。


まだ軽く目を通しただけですが、こちらは本当に「本」という感じで、文章量の多い内容となっています。

アスペルガーについて全体的に解説されていますが、「アスペがアスペなのはわかったけど、じゃあアスペはどうやって生きてきゃいいのよ?」ということで、「アスペに向いてる職業」について注目しました。

もうティーンじゃないっすからね、そこ重要です。


本書で紹介されている「アスペ向き職業」です。

・研究職
・SE
・警察官、検事、裁判官
・世話をする職業(教師とか、介護者とか)
・ホテルの裏方
・自営業
・外車のセールスマン
・翻訳者
・プロデューサー、コーディネーター、ゲームクリエイター

若干ピンポイントな職業が挙がっているのは、たぶん筆者の方が実際に見た事例によるのでしょう。逆にリアルだと思いますよ。

アスペ向き職業として注意する点は以下だと紹介されています。

・人との関わりが少ないこと
・パターン的、マニュアル的に行なえること
・サポートしてくれる人がすぐそばにいること

淡々と決められたことをこなせばいい仕事が向いていますが、もっとも重要なのは「自分のこだわりや長所が生かされる職業を選ぶこと」とされています。


逆に、避けた方が無難とされる仕事・職場の特徴です

・良好な人間関係や、人間関係への理解が必要とされる仕事(接客とか)
・従業員の間で独特の集団意識がある職場
・あうんの呼吸が必要な結社的文化がある職場


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自分はまさに「在宅ワーカー」をやっているわけで、ドンピシャですね。
自分は翻訳者になる夢もありました。『対訳 サザエさん』とか読んでるのも、その名残りみたいなところがあります。


研究職は素直に向いてるだろうなと思いますし、web方面の技術職も面白そうだなと最近感じていたところだったので納得だし、孤立系アスペは現実になじめず、そういうことからオタク方面に走るパターンがあると書かれていたので、コンテンツ制作に向いているのかもしれませんね。

そういえば、うろ覚えですが奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」では「テレビマン」がアスペ向き職業だとされていたように思います。秒単位でスケジュールを組まないといけないので、むしろ常軌を逸したスケジュールへの意識があるアスペにとって天職になりうると。

同じ理由で、電車のダイヤを組む人も向いてるのかもですね。



いろいろ思うところがありました。
ちなみに自分はかつて接客業をやってました。自分がコンビニとか飲食で働いてたとか正直自分でも信じられないし、マジでこれは「本当にあった怖い話」だと思いますw

かつて自分に接客された方がいらっしゃったんですからね・・・。本当に、申し訳ない。


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自分にとって、これまで「コミュ障」とふわっとまとめて棚上げし、自虐ネタに繋がってきたエピソードについて、話が非常に具体的になり、非常に参考になりました。

自分がおかしいというのはわかっても、何がどうおかしいのか、問題点が具体的にならない限り、具体的な解決策も決して見えてきません。

「コミュ障」というふわっとしたキーワードを使っている以上、いつまで経っても話はふわっとした自虐止まりにしかなりません。


ようやく、具体的なヒントをつかめたと感じました。


自分にとって生理的に向いているものと向いていないものがおぼろげながら具体的になり、もはや自分に生理的に向いていないと思われるものについてはようやくスルーできそうな気がしてきました。

それをできない自分を、自分はようやく許せそうな気がしました。

ノリや勢いやアドリブがまったくムリでもいいんだなとか、サプライズを素直に嬉しいと感じられなくてもいいんだなとか、こういう人間性を相手にも期待する人とは無理に付き合わなくていいんだなとか、いろいろ。


普通の人なら「あ、オレにはムリだわw」で即スルーできることをいつまでも引きずるあたり、自分はアスペなのかなと今は感じます。

長年のネック、長年の違和感について手がかりが得られて、なんか本当に良かったなと思ってます。