小説です。SFホラーかなって思いましたが、ウィキペディアにはサイエンス・ファンタジーとありました。まあそんな感じの作品です。
サイキックな力を持ち、穏やかで平和な、理想的に見える社会で暮らす主人公。しかし平和な毎日に潜む違和感、人間に奉仕するバケネズミという種族、友人との別れ。これらの出来事を通し、次第にはがれていく理想社会の正体とは!?って感じでしょうか。ラストで明かされるバケネズミの正体が見せ場でしたね。
読むのだるい人は下をクリックしてもいいかもですねw
新世界より (小説) - Wikipedia
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普段よく本は読むのですが、いわゆる小説というものはすっかり読まなくなってました。ですが、今月の頭は調子が悪く、仕事をする気力もなけりゃ横になってても眠れなくて気が滅入るという状態にあり、ものすごい久々にしっかりした小説でも読もうかなって思いまして。なんかラノベって気分でもなかったんですね。
それで、ふとこの「新世界より」を読んでみようかという気になったわけです。ちょうどうちの図書館にあったのは以前に気づいていましたから。これを読むのは初めてでも話は知っていたんですよ。ちょっと前にアニメ化されてましたからねw
イントロダクション|新世界より|テレビ朝日
アニメ版も真面目に見てたわけではありませんが、ボーっと流し見はしてたんです。で、原作はどんなだろうというのが少しだけ気になっていたタイミングだったんですね。でも、自分が読んだのはハードカバー版ですが、これ上下巻合わせて千ページ越えの長編なんですよねw たぶん、具合が悪くて仕事も遊びも何もする気にならないというこの機会を逃したら、たぶん自分は一生これを読むことはないだろうという気がしたので、いい機会かなと思って読んでみました。
もう話自体は知ってましたから、衝撃のラストも特に衝撃はなかったのですが、久しぶりにかっちりした小説を読んで、こういう作品を書ける人間のすごさに驚きました。普段自分がよく読むラノベ系ってけっこうご都合主義というか、紙幅の都合もあるのでしょうが、主人公の周囲数センチくらいしか世界感がないようなところもあったりします。
でもこういう重厚な作品に触れてみて、本当に一つの世界が作りあげられているというのを感じます。架空であっても、メチャクチャで辻褄があってなくてもいいから何か一つの世界観を作れと言われても、たぶん自分はこの作品ほど広くて深い世界観を作りあげることはできないだろうなぁと感じました。
フィクションはしょせんフィクションと馬鹿にできないなーとすごい思いましたね。作者はこの世界感をどうやって作りあげたんでしょうか?精巧な機械細工でも作るように、綿密に丹念に作りあげたというならその計画性や緻密性、根気や粘り強さに感服しますし、これをほとばしる想像力に任せて、半ばノリと勢いだけで作ったというならその想像力や空想力の広さ、深さは想像もつきません。
もちろん自分が思い描いたものを文章化する技術もそうですが、プロの作家というのはやっぱり違いますねー、というのを感じた作品でした。なかなかさくっと読むのは難しい長さかもしれませんが、もしぽっかり空いた時間がある方は読んでみるとおもしろいかもしれませんよ?
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/24
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